そこにある生活

4月下旬、仕事で福島県南相馬市に行く。

福島駅からバスで相馬市まで行って、迎えに来てもらって、「女の子が一人でバスでここまで来て外に出て、怖くない?」と気遣ってもらう。

「女の子って年齢でもありません」とか言いつつ、「なんか、私の不安は別のところにあるみたいです」と返答。

南相馬市は、その日からちょうど郵便が自宅まで配達されるようになったらしい。

逆に言うと、それまでは、配達がなかったとゆー話。

「昼間は人が結構いるけど、夜は人いなくなるの早いよー」と。

「東京って今どう?計画停電ってどうやってんの?」と、興味津々な感じで聞かれたので、駅のエスカレーター半分止まってますよーと言ったら「マジか!」と、ものすごく驚かれたり。

仕事の関係で、線量計をずっと持って歩く。

外の数値が、車に入って半分になり、鉄筋の建物の中に入ると外の4分の1くらい。確かにそうなる。

ただ、外の数値は、10歩歩くと変わっちゃう。ある一点が1.2マイクロ、そこからちょっと横に歩いただけで2.5になったり。

20キロ警戒区域ギリギリでも、1.0にもならなかったり(海沿いは低い)。

歩いた感じとしては、「このあたり2キロ範囲くらいは、だいたいMAX2.5かな」とか、そのくらいは判別できるのかな、と。2.0くらいのところで、3.5になっちゃう場所は出てくるけど、よっぽど側溝とか水が集まる場所でない限り、いきなり5.0とかにはならない。

ただ、通常の「だいたい」値で4.5とか5.0とかある場合は、場所によって突然10.0を超えるところが一瞬あったりする(車で通過したら突然反応した場所があった)。

帰りは福島駅まで送ってもらいつつ雑談。

福島市に近づくにつれ、夕方の帰宅時間だったこともあって、渋滞してくる。

「ここでこうやって生活してるのがいいのかどうか、正直わかんない。影響あるって人とないって人の幅が広すぎて。子どもたちを疎開させろ、せめて子どもたちだけでもって言うけど、離れて暮らすことの生活リスクを考えると、そっちのが寿命縮まるような気もする。積算20ミリでどうこうって話もあるけど、じゃあ10ミリにしたらいいのか、5ミリならいいのかって話。本当は1ミリだって言われても、その途端に福島も郡山もだめ。この車の量でさ、全員が物理的にどっか行けると思う?子どもだけでもっつったって、それでも全員が行けると思う?だからさぁ、とりあえず20ミリに収まったってだけで、ほっとしてるんじゃないのかなぁ」

そんな話を聞く。

「ここで生活しながら、影響を最小限におさえる努力をしていく。そういうことだと思ってる」

エスカレーター止まってるうちに東京行っときたいわ、呼んでね、と言われて別れる。

また来てねー、と言われて、来ますー、と手を振った。