アラフェスの1日目が終わろうとしていた時、ツアー発表の映像が突然始まり、Popcornと画面に出てきた時の、あの爆発的な音は忘れ難い。
歓声じゃなかった。突き抜けるような、重量のある爆発的な音。
映像が流れるうちに爆発的な音は爆発的な歓声に代わり、ここにきてボルテージが異常に上がった。
時系列はわからないけれど、ここ数年の「国立」の存在が嬉しくもあり困ってもあり、という状況を解決するための手段として出てきたのがアラフェスであり、それによってツアーと国立を完全分離することが可能になった、ということがとてもとても大きかったとおもう。
嵐のコンサートって、ちょっと修行みたいなとこ、あったのね。あの、コンサート番長厳しいから、コンサート中は「潤くんが右って言ったら右」なのね(…ってニノがゆってた)。
ほんで、ラップするひとがこれまた厳しくて、早口な横文字で客席にああしろこうしろ曲にのせて言うんだけど、横文字だからなにせ聞き取れないしさ。そのくせ掛け合いがうまくいかないと、チッ、みたいな顔すんだよあいつ!
あの頃別に不遇じゃなかった。
短い時間だけど楽しいみんなでやるラジオ、日テレの若手羽鳥アナと一緒の深夜の冠番組、夏と冬に必ずやるツアー。
不遇じゃなかったけど世間的に売れてもなかったからツアーにかける時間はたくさん。
でも初日はいつもゲネプロ状態って笑われてた。ゲネプロじゃないもん、、、て言いながら、でも装置がうまくいかなかったり、掛け合いがうまくいかなかったり、aDayの潤智の入りがうまくいかなかったり、そういうことはよくあった。いつかのレインボーでは音まで止まったことあった。
でも、初日にはいつも「こんなの見たことない!」がいっぱいつまってて、いつもいつもコンサートの可能性は無限だと思わせてくれた。
ゲネプロといわれた毎回の初回の直後、間の1時間で直せるとこ全部直してきた。
客席はチッて顔されながら必死で覚えて、ステージ側も直して直して、回数重ねるごとに客席が勝手にいろんなノリをし初めて、最初はピンとこなかったはずの曲も演出もじわじわ浸透してきてすごくよくなる。
そして迎えるFINALの高揚感。
一度きりのスペシャル感。
毎回の、明日解散するみたいに悲壮感漂う長い長い挨拶。
それを黙って聞いて(最初の最初の頃きゃーきゃーしてたら聞けって素でゆわれたのでちゃんと聞く)、アンコール何回かやって、でも、これで終わりだねって呼吸を合わせて終わるFINAL。
嵐コンに来る客はスタッフだ、と。
漠然とそう感じていた。
一回しか見られない客はどうするんだ。
コンスタントにやらなければプロじゃない。
オーラス見られない子がかわいそう。
そりゃそうかもしんないけど、でも、嵐もライブも生きてんだからさ。
そう言える季節はいつの間にか過ぎ去り、ふと気がつけば日本の嵐。
いろんな思うこと、思われること、気をつかうこと、物理的にない時間。
べつに、過去を振り返りたいわけじゃないよ。今のありがたさはよくわかってるつもり。
でもさ、でもさ。
その、「でもさ」の先にやってきたPopcornの爆発音。
オープニングで新しいアルバムの新しい曲を新しい衣装で新しい振付でガンガン踊ってくれることが、それがどれだけ嬉しいか。
Cosmosとか見た!?
左右で分かれてまた見にっくいとこで、大野作のちょっと変わった振り踊ってんの、Jr.がつっとつけて。言っちゃえばそれだけなのに、超壮大。超世界観。超素敵。
スーパーフレッシュもすげえんだよ、歩くのね、歩きながらちょっとだけ踊ってる、それのありえない可愛らしさよ!列になった時の言い表せない高揚も!
旅は続くよの壮大で無駄な金かかってる感とかすばらしい。ポップコーンマンはあんなかぶりものなのに、衣装が実はスタイリッシュで後ろ姿が超かっこいい。
そのままラッキーマンならぬポップコーンマン。
『おれがポップコーンって言ったらおまえらメンて言えよわかったな!』「あいせいポップコーン、ゆーせいメン!」
「ポップコーン!」メン!「ポップコーン!」メン!
ただそれだけの掛け合いを、必死で、必死で煽ってた。
aDayも、うえー!、って、ただそれだけの掛け合いを、必死で、必死に。
もう知ってる、もうわかってる、みんなそんなに回数みない、回数みられない。客席はもうスタッフにはなれない。あの頃みたいには。
だったら。
だったら、それでも大丈夫にすればいいんじゃない?
ポップコーンって言ったらメンね!はい声!そう、上の方!もっと!そう!スクリームは騒ぐの、はい声、もっと!そう!
必死の手が、手の動きがずっとそう言ってる。
曲っていうのは、コンサートでお客さんの前で披露して初めて完成する。
嵐に限ればそれはほんとにそう。
みんな演者。
ほんとにそう。
だからもっかい、最初から。
あいせいポップコーン、ゆーせいメーン!
そういう、方向性への揺らがない決意、みたいなもの。
ダンスからFaceDownに続く流れの完璧加減。
Waitingforyou、間奏で集まって踊り出すのも。
ムービングステージは、がっつりフォーメーション組んで踊ってるのに、同時に移動を可能にする点が画期的だった装置。
安全性の面で渋い顔された潤くんが、使えるかどうか完全にはわからないままに大阪城ホールへ持ち込んだ、21世紀最大の!発明品。
だけどいつかたどりつくさ
きみとならのりこえて
のりこえて、たどりつく本編最後の曲がワイルドアットハート。イントロの歓声につつまれる幸福な風景。完璧だね。
東京ドームのラストの日にさ。
ふたつアンコール終わって。定番のふたつ終わってね。
今日は東京ドームのラストでさ。
すごいいい感じでやっててさ。
そこはもういっかいじゃんって。
その勢いがさ、それが、会場をちゃんと包んでて。
時間なくてさ、ARASHIの曲と同時にわちゃわちゃもぎゅもぎゅ5人で転がり出てきて、笑って口々になんか言い合ってたから、最初にかけ声みたいなの入れたかったのかな、って。
言えよ!
曲始まっちゃったじゃん!
みたいな。
すごいもぎゅもぎゅ、転がるように出てきて、さ。
ARASHI歌って。
コンサートで見る嵐のあの生きてる感、緻密な組み立ての上にある幸福な景色。
もういっかいやってみようと、それをめざす意志をみる、幸福な空気。
おれら5人で、何万人でも幸せにしようとする力。
あの日のPopcornにはそれが全部詰まってた。
あいしてるよ!って、全世界に叫びたいくらいだったよ!