Merry Christmas to you!

冬の楽しかった嵐の記憶は、いつもきみとともにある。

おぼえている一番最初、クリスマス・イブのその当日。

6月生まれの少年にもらった全身タイツを着て、ポップアップで出てきたその姿。

プレゼントを渡す時、6月生まれの少年が、「今年俺おもしろくないんだよ~」って、その箱にしがみついていたこと。

12月生まれのきみの誕生日、その1点で、ステージも、我々も、これ以上ないくらい高揚していた、それが、一番最初。

2014年。

きみのお誕生日のその前日を、東京ドームが迎えてくれた。

始まる前から、念入りに。

騒がないでね、静かにね、って、モニターに映る文字。

『MCでサプライズをしたいので、協力してください』

椅子の背の上の、薄い幅の部分に、控えめに貼られた緑色の丸いシール。

合図があったらファンライトを消して、次に、シールが貼ってある席の人だけ、ファンライトをつけてください。

そんな文字列が、何度か繰り返し。

祝祭の開演前。きゃー、なんて、言わないよ?

その頃きみは、実はBOX席のあたりで記者会見をしていたらしい。

お祝いが終わった後のMCで、

あれはまずかった!あぶなかった!

って、口々にきみの嵐の人たちが言う。

うっかりモニターがきみの目に入りそうになって、1月生まれの少年が、それを隠すように、あわててきみの隣に張り付くように立ったこと。

それをきみは、今日距離近いな、って思ったけど言わなかったこと。

6月生まれの少年が、それを見ながら、みんな寄っちゃうとそれもヘンだし、って思っていたこと。

あれはあぶなかった、やばかった!

だって。

「今日あいばさん11時15分入りでしょ?俺ら、10時半入りしたの」

って8月生まれの少年が言うから。

きみは、「えぇ!?」って驚いて。

スタッフと手分けして、緑色のシール貼ったんだ、って。

11月生まれの少年と、1月生まれの少年と、6月生まれの少年と、8月生まれの少年と、スタッフで、手分けして貼られた緑色のシール。

「準備はいい!?」

MC中、そんな号令で浮かび上がった、2階スタンド 「オメデトウ」 1階スタンド 「MASAKI」の文字。

「シール貼ってない人消してみてもらっていいかな!?」

「それで、ファンライト緑にしてみてくれる!?」

オメデトウ MASAKI

広がるグリーンの世界。

「まじか…」「まじかよ…」

きみは、小さく、そんなふうにつぶやいた。

ステージの照明も絞られて、さらに浮かび上がるグリーン。

暗い中、8月生まれの少年は、手にしたカメラでせっせと撮りながら、

暗くて映んないかもしんないけど、そこにいて、って。

12月生まれの少年と、オメデトウ MASAKI を、なんとかカメラに納めようとしていた。

そうして、後ろの扉がするすると開いて、出てきたケーキ。

32、と大きく描かれた。

「(ロウソク)消していい!?」

と、きみは嬉々としてケーキの前に出てきて。

そのままケーキの前に中腰になりながら、

「…俺歌っちゃうの!?」

と、笑った。

Happy Birthday to you!

合唱の後で、消されたロウソク。

それから、ケーキの前で、記念撮影。

「…あいばさん、センターいてもらっていいですか」

ちょっと笑いながら8月生まれの少年が言うケーキの後ろ、真ん中に6月生まれの少年が陣取っている。

あはは、と笑って、4人で撮って、5人で撮って。

「もういい?消しちゃっていい?」

と、グリーンの世界を指して1月生まれの少年が言う。

ここに焼き付けたから大丈夫、と。

きみの胸の位置。

そして、ピンスポの中で挨拶をした12月生まれの少年は。

しかし、もう少年ではなく。

この日、最後の最後の挨拶も。

「今が一番、嵐が好きです」

そう、言葉にしながら。

体を折って号泣することも、コントロールがきかないように何かを叫ぶこともなく。

おだやかに、あたたかく、まっすぐで。

そう。

少年は青年になり、青年はオジサンになる。

おだやかに、あたたかに。

しかし。

少年が青年になっても青年がオジサンになっても、冬の嵐の祝祭は、いつもきみとともにやってくる。

祝祭の太陽を背負って、きみがそこに立っている。

冬の嵐の楽しかった記憶は、いつもきみとともにある。

それはきっとこれからもずっと。

きみと、きみの嵐が、そこに立っている限りは、ずっと。

12月24日

メリー・クリスマス

12月生まれの少年に。

12月に生まれてきてくれて、ありがとうありがとう!

『最後に一言』 Merry Christmas, and Happy Happy Birthday,

おたんじょうび、おめでとう!