しょうがない。
君が品行方正だから、好きになったわけじゃないんだ。君が「世間」に対して「正しい」から、好きになったわけじゃないんだ。
君の顔と体と動き方と声と仕草と、あと、そういうのを、こっちに見せてくれることと。
青春を切り売りしてくれて、京都まで行ってたことと。
やめないで、いてくれたことと。
逃げ出さないで、いてくれたことと。
君のステージに嘘はないと、そう、思わせてくれていることと。
今でも、和傘を自在に操れることと。
あと。
やっぱり、クズなとこ。ね。
KYOTOKYOの頃の、君のクズ伝説とかすごいおもしろかったよ。
…おもしろかったってひでーな。
でも、都市伝説みたいなそれも込みで、おもしろかった。
舞台終わってんのに全然帰ってこないし、「くっ…クズ…っ!!」って思ってたよ…。
それがおもしろかった、ね。おもしろかったし、胃が痛かったし、もう見れないんだ…って、覚悟はしてたはずなのに、ものすごく果てしなく絶望もしてた。
君がクズなことなんて、16歳の時から知ってる。
そう言ったら、怒られた。今は全然状況が違うって。自覚がねぇって。
それはまぁそのとおりで、ほんと、すみません、と、わたしが言ってもしょうがないけど、ほんと、ごめんなさいって言い続けるしかそれは、ない。
自覚ないし、ガードゆるゆるだし、どうしようもないし、それはもう、ほんと、ごめんなさい×365万回。
さすがに、今回の件は、君も、365万回怒られただろうなって。あの、宮城で、水ぶっかけられた犬みたいな顔してた時。
ばかだねぇ。気にしないでしゃんとして立ってろよ。
…ってゆったって、しょうがない。
怒られたんだねぇ、ばかだねぇ。ばーかばーかばーーーか!
知ってるよ。君、だって、16歳の時からずっとクズじゃん。
私、君のことなんかなんにも知らないけど、けど、知ってるよ。
君が、やさしいことも、知ってる。
5月に、They武道のクリエ、見にきてくれた、の。
目立たないように、これ以上ないくらい小さくなって、バルコニーに座ってた。
林くんに、「今日は嵐の大野智くんが見に来てくださっています」って紹介されて、阿鼻叫喚の客席にますます小さくなって。
亮太くんがうっれしそうに、「ぅおぉのくぅぅんっ!!」みたいに叫んで、林くんもハキハキ「大野くんっ!」って呼びかけて、そのふたつの声と、客席の阿鼻叫喚にかき消されながら、江田ちゃんが必死で「大野くん!大野くん!」って言ってた。
全力で嬉しそうに名前呼ばれて。
昔っからそうなんだよ。なぜか、この人は、人に好かれる。仲間はみんな、君のことを、やさしい、って、言う。
大野くんっ、大野くんっ、て叫ばれながら、君は、いいからいいから、みたいに、また、すぐに小さくなろうとする。
GUTSの振付練習で、「大野くんもやってくださいねっ」って言われて、バルコニーの壁の下に潜り込むくらいに小さくなって、「大野くんっ」「ちっちゃくなってるっ」「見えなくなってるっ」って嬉しそうに言われて。
終盤、嬉しそうに手を振られて、ちょっとだけ、手を振り返してみたりして。
ほんとにね。
クリエに、君が来たことが、うそみたいに、うれしかったの(わたしが)。
京都のさー、ちっちゃいとこでさー、がんばってたじゃん。
その先のことなんか、全然わかんないのにさ。
そうやってきて、この道にはもういない人の方が圧倒的に多いけどさ、でも、それで、なんとかなった人がいるのって、やっぱり、悪いことじゃないと思うから。
少なくとも、大野くんは、歌って踊ることができますっていう、ただそれだけで、ここまできたよ、って。
京都のちっちゃいとこで、前3列分くらいしか人が入ってないとこで夏と秋を過して、翌年の季節には同じ場所で操っていた仮面と和傘。
それを、ドームの真ん中で披露する未来も、今ここにあったんだよ、って。
べつに、品行方正な人じゃ、ないけど。
クズ、だけど。
まぁ、なんか、わたくし、という個人としては。
やっぱりクズがすき、としか言いようがなくて。
べつに、それで石投げられても、ありえないって言われても、まぁ、なんか、クズ、すきなんで。
君が、そこにいてくれるということに。
ここから、逃げ出さないで、いてくれるということに。
逃げたいとか、全部放り出したいとか、いろんなこと、いっぱいいっぱい思ってるだろうし、実際、どっか放浪して暮らすか、有り金持ってどっかのホテルに引きこもりたい、とか、そういうタイプの、クズ、なのに。
それでも、まだ、ここに、いて。
そうして。
水かけられた犬みたいな顔して出てきて。
それでも、君の歌に合わせて、いっぱいの客席が、声を出して歌ってくれたことに。
ぐっときて、ちょっと、泣けちゃってるのを。
ばかだねぇ、って、見ながら。
傷ついた人たちがいる、ということに関しては、もう、ほんと、あやまるしかないし、ごめんなさいと、すみませんと、それ以外にはないし。
なんかよくわかんないけど、わたくしんとこにも、「なんでそんなクズをかばうのか、大野くんにはもう嵐にいてほしくないです」とか、「なんでクズって言うんですか、大野くんを嫌いなんですね」とか、両極端に攻撃的な文言が四方八方から飛んできて、いやいやいやわたくしはカスタマーセンターじゃないですし!?お客様相談室でもないですし!?っていう状況が結構長く続いて、まぁなんつーか、ほんと、あっちにもこっちにも、すみません、と、わたしが言ってすむものなら、それは、すみません、でしかないので、いくらでもあやまりたい気持ちはあるんですけど。
なんていうの。まぁ、でも、さ。
5人で嵐、なわけでさ。
それ以上でも、それ以下でもないわけで、さ。
君の代わりは、どこにもいない。
君が品行方正だから、好きになったわけじゃないんだ。
そうじゃない君がいて、5人で、嵐が、あるんだよ。
さとしくん、嵐になったばっかの頃、めざましテレビに大遅刻かましかけた時に。フジテレビまで行って、よかったね。
突然組まされたグループでさ。だまし討ちみたいなデビューでさ。いつもいつも世の中捨てたいみたいな雰囲気で暮らしてたのにね。
君が15年もアイドル続けられる箱が存在するなんて、まったく想像できなかった。
嵐はすごく、広くて、深くて、だから、よかったね。
和傘持ってる姿また見られて、しぬほどうれしかったよ!
体が動く限りがんばれよ!
おたんじょうび、おめでとう。