ふじとレモン

自分がジャニーズのおたくやり始めた頃(大昔)は、メンバーカラー、という言い方もしてなかった気がするし、自担、という表現も使われていなかった気がする。

推し、という言葉よりも、自担、という表現が幅を利かせているのは、文化圏が確立してる感じでいいなと思う。メンバーカラー略してメンカラは、今どこのジャンルでも散見されるし、いろんなアイドル系の人たちが出るライブハウスなんかではほんと、「あのグループのあの色の人」という言い方ができて便利すぎるから、メンカラ、というものはそれは定着するわなぁ、という感じ。

事務所クビんなった時、グッズとかに手をつける気にはならなかったんだけど、もう黄色い服なんか絶対着ないわ、と思って、結構な数あったイエローの洋服とか装飾品を、ほんの少しだけ残してあと一切合切きれいさっぱり捨てた。そもそも自分はメンカラの文化は便利だとは思うけど、そんなに好きではないのだ、色固定されるし、とか思いながら、本当にたくさん捨てた。

本当にたくさん捨てた、のだが。

再び現れた奴はなぜかやっぱり黄色を着ていた。

気がついたら隣にいてくれるようになった人もやっぱり紫を着ていた。

いやそんな!メンバーカラー後生大事にすんなや!そりゃあった方が便利だけどそれなら赤と青とか!あるじゃんもっと!いろいろ!白と黒とか!ふたり組に合う色があるやろ!なんやねん黄色と紫って!

…と、わりと当初から思っていたし、今でも結構思ってる。

今でも結構思っているけど。

最初に出したグッズのえだりょTシャツは、黒色だった。

次にTシャツが出た時は、黄色と紫だった。

レモン色と、藤色。

生地の段階からりょうちゃんが選んだ、と言うそれは、レモン色の方がメッシュっぽいスポーツっぽい生地で、藤色の方はパジャマっぽいやわらかめの生地で、サイズあんまり作れないから自分たちも着られて買う人もオーバーサイズで着られるやつ、というコンセプトでサイズはLとXLの2種類。

レモン色と、藤色の。

イエロー、といっても色はたくさんあって、グリーンや黄緑に近いものから、オレンジに近いもの、マスタード系のくすみ系、ひまわりのイエローとレモンのイエローは別物。

パープル、も、ノワールの黒に近いような重厚なものから、ラベンダー、薄く透けてピンク色に近いもの、青の混ざった硬質なもの、赤に近い光沢の色、いろいろ。

そういうなかで、奴が商品として出してきたのが、藤色とレモン色で、普段ほぼまったくといっていいほど解釈が一致したことのない奴の脳内から出てきたその色が、ほんとうにほんとうにめずらしく、私の脳内のメンバーカラーと一致した。

ふじとレモンだ。

少しだけ太陽のみえる藤棚の藤の色、ありったけの太陽の下でサテンみたいに光るレモンの色。

レモンカラーの洋服を探し求めて集めていたこと。

私のなかの黄色はそんなふうに、ずっと、レモンだったけど。

江田っていうひとが、山吹色、って言ったことがある。

照明の話をしていて、顔が見えなくてもメンカラの照明にしてるんだよっていう話をほかの人がして、その時に、江田っていうひとの口から「山吹色」っていう単語が出た。

照明の色が「山吹色」という名前なのか、他にもイエローがあるなかで「山吹色」を選んだのか、それを、ずっと聞いてみたいと思っていたな、と、そんなことを思い出した。

私の中ではレモンだけど、かのひとのなかで山吹色だったのならば、それは、かのひとの中のイエローの方が落ち着いていて、やわらかい。

ふじとレモン、より。

藤と山吹、の方が、いいかしら。

でも、私の中ではレモンなので。

一旦、ほとんどを捨てたレモン色の洋服と装飾品を、また、ちょっとだけ、買っている。

 

ふじのひととレモンのひとは、ときどき一緒に仕事をする。

バレーのコートで歌うっていう仕事で(現役の時は考えられなかったようなアイドル仕事が今になってやってくる)、突然クリエ並みの演出を突っ込んできたりするからマジびびる。

この間は、ラジオに出してもらった。

りょ「ふたりともとってもちっちゃいです!」

つぅ「声だとわからないから大丈夫よ!?」

最初から飛ばしているレモンのひとと、レモンのひとがいると妙にしっかりしてみえるふじのひと。

りょ「ぼくたちはコンサートに関しては、江田剛が演出をして山本亮太が振付をするっていう方向でやらしてもらっていて、普通だったら演出家さんだったり振付師さんだったりが入ってきて一緒にやってくみたいな感じなんですけど」「なかなかいないんですよこういうふうに、2人だけで演出と振付やってほんとにコンサートができるっていうグループ、あんま聞いたことなくて。毎回いいライブになるよね」

つぅ「なんかそうですね、自分たちの最高を更新し続けるというか」

(「なんかかっこいいですね」)

りょ「かっこいいでしょう!?」

(ウケたおすパーソナリティーとつぅ)

りょ「かっこいいんですよ」

つぅ「自分で言ったなww」

つぅ「前回よりさらに、日々勉強させていただいてるのでよりよいものが2人とも浮かんでくるといいますか、そういうものを取り入れて次のステージへ次のステージへ、っていう感じですね」

(「役割分担として結構分かれている」)

つぅ「そうですね、じゃあこれ、ってなった時に、自分が担当してるものだったら、じゃあこれやるね、これよろしくね、って、そこに関しては不安とかもなく、そのへんは信頼してる」

りょ「まかせっぱです」

(「ちょっと不安になったりとかしないんですか」)

りょ「ないよね?」

つぅ「ないよね」

りょ「そもそも不安になる要素があったとしたら、それをふまえてお願いしてる感じ」

つぅ「こういうふうな不安がなくなるようなお願いというか、演出も、振付に対してこの曲こういうふうな感じでこうしたいからこういう振りをつけて、っていう。やっててなんかあったら、こういうのどうって言ってもらって、演出変えたりとか」

りょ「こういう振付だからこういう演出にして、っていうお願いだったり。演出と振付って知らないお客さんからしたら結構同じような職種に見えると思うんですけど、全然違うんですよ結構大変なんですよ。ぼくたちソロでもやってるんで、そういう時とかもうほんと、やたら大変です」

(「ふたりでの活動で、お互いのここは尊敬できる、ここはなおしてほしいっていうのありますか」)

りょ「ここはですねえ、ぼくからいいですか、ぼく山本亮太です。ぼくから江田剛の尊敬できるとこを言います!やっぱり、20年間、20年間ずっと一緒にいたわけじゃないんですけど、20年間一緒にいて、コンサートとかつくりあげてきてて、やっぱり変わらず毎回新しい演出のネタだったり、どこの引き出しから持ってきた?、ってぐらいの演出を考えて持ってきてくれたりするんで、それこそ日々いろんな人のを見たりとか、ぼくもしてるんで、これはやっぱりぼくは振付面でのことでしかわからないというか、今いろいろソロでもやってるんですけど、やっぱり演出面では、すごいなって尊敬できるし、逆になおしてほしいっていうところは今一切なくて、ひとつもなくて、こう、やっぱり今、ふたりだけでやらなきゃいけないじゃないですかいろいろと。だから今なんか、ふたりとも成長する期間だろうなって思いながら、あんまりこう、なおしてほしいっていうところはほんとにないです」

つぅ「お互いが任せられる部分に関しては尊敬してるなっていうのはありますし、ダンスの、ほんとに最近いろんなジャンルがどんどんどんどん出てきて、細かいダンスだったりとかノリの違いだったりとか、そういう新しいのを取り入れてくれますし、チャレンジさせるというか、ちょっとこういう振りやってみようよ、みたいなところもあるんで、自分のダンスのレベルもどんどんどんどん上げてもらってるというか。レッスン込みの振付みたいな、そういうのがスキルアップにつながっていってるんじゃないかなって。あと、どこいってもこの、元気力ですね(りょ「まかせて!」)まわりの人を圧倒するといいますか、引き込む力。自分の空間にする力はやっぱりすごいなって」

りょ「ぼくほんとにソロやたら大変なんですよ、やたらたいへんなんですけど、なんか今年2022年入って、あんまりこうふたりでお仕事まだあんまりしてなくて、近々(きんきん)からいろいろ始まってくんですけど、それがやっぱり、こうやってラジオのお仕事とか今回すごくうれしいことに、やっぱりふたりでお仕事するって結構落ち着く、場、落ち着く場であるから」

つぅ「なんかさ、一人って全部一人で懐柔(コントロール、の意)しなきゃいけないからそれをなんかさ、サポートしてくれると超ありがたいよね」

りょ「ソロん時は全部自分の責任じゃないですか。えだりょの場合は江田の責任だし、りょうちゃんの責任でもあるから」

つぅ「半分」

りょ「それがすばらしい」

(2022年2月10日 レインボータウンFM「すえたけいくみのThe Show Case」)

ふじとレモンで、はんぶんこ。

一寸先は闇すぎるけど、ふじとレモンではんぶんにできるなら、それは、わるいことじゃないんだなって、それはわりとずっとずっとずっと思い続けている。