TDCの夏とSTAGE

拳握って叩きつける事案はしぬほどたくさんあったけど、2016年夏のTDCに関して拳握って叩きつけてた案件は、「なんでこれがSexy Zoneでできねぇんだよぉぉぉぉぉっ!」につきる。

5人横並びのCDが出た。目に見えて体制が変わった。ツアーは最初から最後まで5人だった。コングラに聡ちゃんとマリちゃんのソロパートができた。

そういう、実感できる変化があった。その夏は、聡ちゃんとマリちゃんはEXに行くことはなく、全員がそれぞれTDCの地下にいた。 

  

精密に、ものすごく緻密に練られているものにハッピーのシャワーをかけてパステルにした感じ、が、した。

ケンティーさんのも、ものすごく語弊のある言い方をすれば、前年度の、こっちが絶対に手出しできない孤独感というか、内側へ内側へと熱がこもっていって外を遮断していたような壁がその夏はなくなっていて、外が「見えている」ような、吹き抜けの回廊みたいなイメージがあった。分厚いカーテンがブルーのレースに変わって、風に舞っているみたいな。

ふうまくんのは、初日だけ、前年度を越えたい、みたいなことを言ってたけど、2日目から言わなくなったw

その夏は、続けての回数が多かったこともあったせいか、ライブが育っていく感が強かった。

 

 言葉をしゃべれるようになった実はストイック(らしい)ライオンの人は、「Sexy Zoneになりたいです」と、あいさつしていた。

 そして、8月25日がやってくる。

 (ちなみにその日の夜の早い時間帯のうちに、全員じゃなかったというフォローがやまぴーさん本人よりwebから入った。やまぴーは0点だけど悪くないよ!w)

 

  

 

 この時、拳握って叩きつけてた事案がなんか、そうだったのか!ってぱちっとはまった気がしたというか、実際この場でものすごく思ったのは、「こっちが思ってるよりこの人たち深刻に口きいてなかったなこれは…!?」っていう…すみませんゲスな感じで的な物語で…。

webでエア喧嘩してた頃よりはなんとかなってるんだろう別にすげぇ仲良しなわけじゃなくても、みたいなイメージをしていたけど、いやいやいや全然深刻だったねこれはね!?ちびーず大変だったね!?山下が、あの!あのおよそ周囲というものに興味を持たない山下が介入してくるくらいの事案ではあったんだね!?

…っていう雰囲気がなんか、自分の中にどわーっと押し寄せてきて、全部妄想なんだけどでも、言葉が出てこなくて百面相してるケンティーさんも、どうしていいかわかりませんっていう顔したまんまのふうまさんも、終始一貫おもしろそうな顔してる山下も今ここに実際に存在している、みたいな…。

伏線、というか、導火線になるものがあったとすれば、自分の中で思い当たるのは、それは原めぐのこと。

ふうまくん言うところの「原めぐろ」。ふまソロで、バックについたふたりのこと。

 

 

 

 

 

原めぐが互いを大事に思ってるって話は、何度も何度も繰り返し出ていた。

それはふたりの口からではなく、まわりの子たちから。

そして、ふまソロの最終日、ついてくれたひとりずつに、ふうまくんがコメントした。

 

「嫉妬します」って、この時、言ったんだよね、すごくはっきりと。

嫉妬って、嫉妬なんかそんなの、そんなのキミにだっているじゃん!

…って、思わないわけないし、思われないわけないってわかってるのに、そういうのいろいろ言われるのすっごいイヤなくせに、そうやって言葉にしたから。

そして、実際に、8月25日がやってきたから。

誰も孤独にならず、Sexy Zoneになる方法は、もしかしたらあるんじゃないかって。

幾千幾万幾億の好きより、ひとつのキライと対峙しちゃう勝利の重い思いを、軽くしてくれる人がいるのはすごい巨大なことだと思ってさ。

 これ言ってる時、すっごいうれしそうだったのおぼえてる。

みんな、TDCですごいおもしろいものつくれるのにさ、なんで、なんでこれがSexy Zoneでできねぇんだよぉぉぉぉぉっ!って、拳握って叩きつけたかった。

いつのメイキングだったか全然おぼえてないけど、コンサートの打合せの映像で、紙に書かれたセットリストを見たふうまくんが「これ、曲順って変えられないんですか?」って言ってるやつがあって、そこ!?そこなの!?そこまで大人がつくっちゃうの!?いや大人がつくってもいいけど、今の体制だとどうしようもないかもしれないけどそんなのはダメだろ!?…って拳握って叩きつけてテレビ壊そうかと思ったよねっていう時もあったわけで。

これを、この夏のTDCを、なんとかSexy Zoneにする方法はないのかと。

自分たちの手で、Sexy Zoneにする方法はないのかと。

そしたら、その全部。ほんとに、全部がSTAGEにあって。

それが、どれだけうれしかったかを。

でも、伸びる時ってこういうものなのかもしれない。

先のことは全然わからないけど、2016の夏と、2017の春。

飛行機が長い滑走路をゆっくりゆっくりすすんでいって。

飛び立った瞬間、景色が全部変わるんだよ。

 

ゆびきり

聡ちゃんが泣くとは思ってなかったなー…っていう話します。

オーラスのあいさつで、1番手のケンティーさんがメンバー1人ずつに言葉を贈って、「もう、健人くんが(泣かせること言うから)」って次のマリちゃんがそれでほろっとしてて、でも聡ちゃんはあまり変わらなくて、でも最後だからか、みんなこゆびだしてください、って言いだした。

約束、かな、って、思った。

私個人のなかにある、こゆびだして、の記憶は、あかにしくん。

はじめてのアリーナツアーの時だった。最後の、大阪城ホールだったとおもう。みんなこゆびだして、って言われて、腕を高く掲げたゆびきりをした。

また絶対ここで会うことを、やくそくー!…って、エアゆびきりをした。

そのあと、NewSがデビューして、KAT-TUNはなかなか単独でライブをする機会がなくて、「でも、仁が約束って言ったもん」って、わりと真面目にみんな思ってた。

わりと真面目に、この時の「約束」を信じてた。

それから1年以上たって海賊帆がやってきて、ごくせんがやってきて、そしてKAT-TUNはデビューした。

あのときの約束が守られたのか守られなかったのか、今となってはなんともいえない。

約束は、守られるかもしれないし、守られないかもしれない。

約束してくれたらうれしいかもしれないけど、しなくてもいいんだよ。

……とか、ちょっと感傷にひたっているうちに、聡ちゃんのあいさつはニコニコと終わってしまい、モニターにはこゆびをたてた自分の手を「えっと」という風情でみつめる勝利の姿が大映しになっていた。

「…出したこゆびはどうしたらいいっすか…」

それまで微動だにしてなかった菊池さんが突っ込んで、聡ちゃんは慌てたように「あっ、しまってくださぁいっ!」って、言った。

(ケンティーさんはこゆびをそっとジャケットの内ポケットにしまったらしい)

(ちなみにケンティーさんは超かっこいい立ち姿でビシッ!とこゆびを前に出していた)

(聡ちゃん、この時のケンティーさんにだけはあやまっといた方がいい)

掲げたこゆびは結局放置されて、約束のゆびきりをする隙もなかった。

笑った。

笑って、そして、なんか、ちょっと、ほっとして、しまった。

約束は、守ったり守られなかったりするものだから。

「しまってくださぁいっ」って言われて、会場は笑いに包まれて、怪訝な顔芸をした勝利を見てまた会場がふふふって笑った。

勝利は初日のあいさつで泣いてたし、それ以降もずっと涙を我慢しながらしゃべる感じだったから、あぁ、ちょっと空気がなごんでよかったな、って、思った。

泣かないように、涙がこぼれ落ちる直前で、少し短めにまとめた勝利のあいさつだった。

菊池さんは過去に言及するタイプのフレンズなので、やっぱり結構な範囲の森を燃やしながら、でも感謝の弁と、わかってるんだよっていう気持ちと、みんなを裏切るのは死ぬときだからっていう重すぎる決意表明を打ち上げて。

それから、STAGEをうたった。

STAGEは5人横並びで、わりと1人ずつの距離をあけて立っている。

客席が、赤い薔薇に誓って歌ってる時だったと思う。

モニターに映っていた聡ちゃんが、急に、本当に急にぐしゃっと顔をゆがませて、うわっと泣き出して、その瞬間、カメラを避けるように肩から後ろを向いた。

聡ちゃん…!って思う間もなく、その時すでに菊池さんは聡ちゃんに向かって大股で歩きだしていて、後ろを向く姿勢で泣いてる聡ちゃんの肩をぎゅっとつかんだ。

ぎゅっと肩をつかまれたその手を、聡ちゃんは、払ったように見えた。

泣いてるとこは見られたくない、って、全身が言ってるように見えた。

それ以上菊池さんは無理強いをせず、また大股で自分の位置まで戻って、今度はうるうるしてる勝利を左腕に抱えて、その手を伸ばして、その時はもう近くに来ていたケンティーさんとマリちゃんを呼んだ。

4人くっついて、聡ちゃんはまだ、1人で背を向けて泣いている。

風磨くんの右手は聡ちゃんまで遠すぎて届かないけど、それでも、必死で呼んでいるのはわかる。

瞬間、ぱっ、と、聡ちゃんが顔をあげてステージ中央の4人を見た。

来い!みたいに、風磨くんの右手が動く。

たたたたっ、と、聡ちゃんは迷いなく小走りに、風磨くんの肩のところへ、どんっ、と、しがみつくと、ぐしゃぐしゃに泣き出した。

風磨くんの腕も、カメラも避けずに、ただ泣いていた。

泣いてるちびーずと、声が出にくい健人くんの間で、風磨くんはめちゃめちゃに大きい声出して歌ってた。

私は、客席で、いくらなんでも声がおっきすぎないか!って、泣き笑いした。

ふまけんはお兄ちゃんでずるいよなー、1人のときはびーびー泣くくせにさーって、思って。

涙もろくなってる勝利と、鬱が始まってからこれまで何があっても泣きごとを言ってこなかった聡ちゃんとマリちゃんと、ここでちゃんと泣けて、よかったなーって、思って。

もし、10周年の日を迎えて、それを私が見ることがあるのなら、その時、泣き出すのはお兄ちゃんの方なんじゃないだろうか、みたいなことを考えた。

たまには肩の力を抜けるようになった、お兄ちゃんの方なんじゃないだろうか。

そんな10周年。

そして、あの夏、ガムシャラJ's Partyに突然呼ばれたセク松を支えるために緑ペンラ握りしめてEXに集まってきた鎌倉武士みたいなお嬢さんたちも、今この瞬間を越えるような10周年が見れたらいいと思った。

STAGE、おもしろかった。

随所に、しぬほどの、会場に対する気遣いが見えた。

セクシー鬱の時のシングルを避けていること、5人一緒に同時に登場して、5人一緒に同時にスライドダウンでハケていくこと。

それは気遣い以外の何者でもないと思うけど、そこをうまく目立たなくさせてるのは、とにかくSTAGEがコンサートとしておもしろかったからだと思ったのね。

5人全員にソロ曲があって、5人全員が1人ずつ最後のあいさつするっていうのも、グループによってはそれは当然のことなんだけど、当然じゃなかったからさ。

キャラメルドリームの勝利と聡ちゃんのオーラスまで飽きることなくやり続けたダバダ芸、いろんなパターンがあったzooの着ぐるみ芸、全力すぎるオキテ、テレポもよすぎるんだけどIt's Going Downも天才すぎて、階段の一番下から一番上までレーザーの下を潜り抜けるのに長い脚を持て余し気味に小さく折りたたみながら階段を這い上がってく健人さんとかレーザーの中から手だけが出されるとことか、聡ちゃんのソロが始まる直前にモニターに抜かれる瞬間の表情とか、帝劇再現VerのSexy Zone(曲)も最高だけどあいさつ前のWith youが振付まんまなことの尊みとか、ジャンケンで最初3回とも勝っちゃうマリちゃんとか全然勝てない風磨くんとか、そのあとのセリフのとこが超楽しみだったこととかブルーオーシャンとか。

終わるの残念だったなー。広島とか仙台とか福井とかで見たかった。

また絶対ここで会えることをやくそくー!…は、しなかったけど、それでよかった。

ゆびきりはしないで、こゆび、しまっときます。

また、今度の時まで。