薄氷をふむ、夕焼けの後 -宇宙Six湾岸Liveでかんがえたこと

クロバットの練習してたの、5時間くらい。でも、江田ちゃんすぐポケモン探しに行っちゃって、3時間くらいいねーの。幸大は、すぐ休憩すんの。できないと、(胡坐かいて座っちゃって)「もうわかんねぇよ」って。

亮太さんがこの話をはじめたのは、幸大が練習の話を言い出したことがキッカケだった。

「もうわかんねぇよ」って座り込んじゃう(そしてそのまま1時間の休憩に突入する)幸大、っていうのはちょっと私は考えたことがなかったので、…そうなの!?と思うと同時に、そういう幸大、めっちゃよくない!?って、思った。

実はあんまり衣装替え早くないのかな? とか、刀持ち変えるので空中に投げる時に若干スローだな? とか、一番ケンカするのは幸大と原ちゃんだとか、そういう幸大も私の中に全然なかったんだけど、でも、そういう幸大、めっちゃよくない!?って、思った。

完璧じゃなくていい、そういう幸大をもっと出してほしいし、誰かが不得意なことは他に5人もいるんだから誰かがカバーできるし、そういうふうに幸大にも思っててほしい、って、思った。

めぐさんは、人に対してのキャッチーな正解を導き出すのが極端に上手で、そこは本来のものもあるだろうし、ある程度メディアに近いところでJr.をやってきたせいもあるのかな、って、思った。

人の懐に入り込むのが極端にうまいって言われるふうまくんも、「目黒やさしいんだよ!」って絶叫してたし。「目黒、振付教えてくれる時に、いちいち褒めてくれんの、『ふうまくんうまいっすよ!』って」とか、言ってた。

Theyクリエのバックに初めてついた時、めぐさんのことを、「いい子なの!」って亮太さんは言ってた。「いい子!」って、それしかないって、言ってた。

対かめなしくんもそうだし、対えださんも、対りょうちゃんも、めぐさんは双方一発で客席がおぼえてしまうような、キャッチーな正解を必ず導き出す。昭和に生きてしまった自分からすればほんとに、感心することばっかり。

湾岸Live、最終公演。

復活LOVEの時に。

2-2-2で出てくる場面で、最初に、江田ちゃんとしょーちゃんが並んで出てくるんだけど。

最終公演のこの時、しょーちゃんが、ふっと、江田ちゃんの肩に手を置いたの。

肩を組む、とかじゃなくて、肩に、手を、置いたの。

ぽんっ、って。

おつかれ、って、言うように。

それだけ。

それを見た時に、なんか、突然、そうだった、Theyは決してキャッチーではなかった、並んで肩さえ組まず、でもそっと肩に手を置いたり、そっと背中を押してそのまま別方向へ歩き出してく人たちだった、キャッチーでは!なかったんだ!

…って、突然、思って。

そうか、今はキャッチーな、つかみやすさ、受け取りやすさ、みたいなものがあるんだ…!

…って。ほんと、突然。

それで、その時に、「おくゆかしい!」とか、思って。パーソナリティーとかキャラクターとかでなく、なんというか、Theyっていうその、3人になってからのTheyって、そういうキャッチーさを持ってなくて、ただそっと肩に手を置くだけで、そういう、なんなの文通なの!?みたいなノリがあったな…って思った時に、大正時代の女学校だったのかな、って、思ったのね(発想の飛躍)。

花言葉の時にさ。

りょ「ありがとう」 えだ「あいしてる」 の時にさ。

そのふたりの間にしょーちゃんが立っててさ。

「ありがとう」の時はやまもっちゃんの方見て「ありがとう」で頷いて、「あいしてる」の時はえだちゃんの方見て頷いて。

頷いてる、のは、全然キャッチーじゃないの。本人へ向けてでも、まして客席に向けてでもなくて、ただ、頷いている。

…文通なのかな!?って思うじゃん!?(思わないんじゃないかな!?)

最終公演の時の、ゲームコーナーの時にね。

バツゲームが、えだちゃん・しょーちゃん・原ちゃん、のチームになって。亮太さんが仕切ってて。

じゃあプロポーズの言葉!って言って、えだちゃんが行くことになって、じゃあ(セットの)階段の上で!って亮太さんが言ったら、えだちゃん素直にトントン階段駆け上がって行くの。プロポーズじゃなくてもいい?そういうやつ、っていう超曖昧な設定に変更して、一緒に海遊館行かへん? って叫んで、超イイ!んだけどプロポーズじゃないじゃーんみたいになって、「これじゃ締まんないよ翔太行け!」って亮太さんは叫ぶわけ。

この時、原ちゃんがものすごく小さい声で「あっ、時間ないですもんね…」的なことを言ったんすよ。

原ちゃんは、俺にやらせてくださいよぉ、とは、言わなかった、の。

あのね、たぶんね、5月のクリエの段階だったら、この場面をもし亮太さんが仕切ってたらね、最初に原ちゃんにやらせたかもしれないなって思ったの。原ちゃんにやらせて、でも多分1回だけだと締まらない。でも、原ちゃんはそのまま撤収しちゃうと引きずっちゃうから、本人も客席も納得するまでやるとなると、尺が必要になるから、最初からその尺を用意して、原ちゃんに、ってなったかもしれないなって。

薄氷をふむような。

薄い氷の上を、氷が砕けてしまわないように、氷を砕かずに向こう岸まで渡れるように、本当に手探りで、ピンと張りつめたまま、そっとそっと歩いていたのかもしれないなって、振り返って思ったりした。

5月、クリエの段階では。足元は、きっとまだ薄氷の上。

バツゲームの続きは、しょーちゃんがやっぱりトントンと階段を上ってって、「俺を養ってくれ!」って、「何も思いつかなかった」って言いながら、全部回収していった。

着地点がつくれるようになっている。それも、すんなりと。

薄かった氷は、たぶん、厚くなったのだとおもう。

ちょっと走ったくらいでは、砕けないくらいに。

厚くなった氷の上にあった、正方形の、箱の中のようなスタジオの会場。

周囲をぐるっとカーテンでおおったまま、夜のなかで進行していったその最後に、さーっとカーテンが開かれていく、「素晴らしき世界」。

降っているのは雪なのか。

暗いカーテンの向こうに隠れていた色合いは、あれは夕焼けの空なのか、それとも。

朝焼け、なのか。

「これから」を歌う時だけ、りょーちゃんとしょーちゃんが向かい合うのは、キャッチーなのか、それとも、大正時代の女学校の中にいるのか(いません)。

あれは、夕焼けだったのか。

暗いカーテンが開いた、夜が明けた時にあらわれたあの、「素晴らしき」「これから」の、空の色は。